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特定看護師の存在意義
特定看護師とは、通常の看護師よりも処置ができる範囲の広い看護師を指します。
主な拡張業務は簡潔な医療処置や薬剤の処置等で、看護師ではできない、許可が出ていない処置もできる看護師ということになります。
アメリカでは「ナースプラクティショナー」という名称でかなり前から浸透しており、日本はそれに倣う形で特定看護師の制度を設けるようになりました。
特定看護師となるには、臨床経験5年以上、大学院における所定の養成コースの修了という条件があります。
ただし、特定看護師でも仕事の範囲はある程度制限されており、実状としては麻酔や手術における特定の仕事に対しての手伝いという形で、限定的かつ専門的な作業に従事するケースが想定されています。
近年、医療の現場における人材の不足が深刻化していることから、特定看護師に対しての期待は高まっています。
そのため、作業可能な範囲を広げても良いのでは?という話はかなり以前から出ています。
ただ、2010年からモデル事業として試行されているこの制度には、少なからず反対の声もあがっています。
一番の問題点は、安全性です。
特定看護師になるには相応のキャリアが必要とはいえ、医者としてのキャリアを積んでいていない人間に手術などの手伝いをさせても良いのか、という問題です。
これに関しては、経験を積んでいけば十分に可能という意見と、その経験を積ませる過程で問題が起こることを危惧する意見の真っ二つに分かれているようです。
また、特定看護師の位置づけが極めて曖昧になるという問題点も指摘されています。
看護師としての業務内容をかなり拡張した状態になると、通常業務よりも医師の手伝いの方に時間を割かれることが多くなり、結果的に看護師ではなくなるのでは?という指摘がなされています。
特定看護師という名称からも、あくまでも看護師がベースであるべきという意見は多く、その点においても課題とされているのが実状です。
患者側の立場からしても、定着するまでは不安を持ってしまうことにはなるでしょう。
やはり、経験の浅い人に処置をしてもらうのは少々落ち着かないところがあるというのが、多くの人の本音ではないでしょうか。
そういった点も含め、特定看護師はこれからどういう方向で進めていくのかという点に大きな注目が集まっている制度です。
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